県立大学創立30周年を記念して、記念式典と記念シンポジウムが開催されました。「福井県の持続可能性を支えるー県立大学これからの30年ー」をテーマにしたシンポジウムでは、県立大学客員教授であるノンフィクション作家の山根一眞さんがコーディネーターを務め、大学発ベンチャーを立ち上げた教員らが登壇しました。当研究所からは、「恐竜総研」を設立した西 所長と今井 助教が参加し、「バーチャル恐竜展」を披露してデジタル技術と恐竜研究についての説明や、福井の大切な資源である恐竜について今後の展望などを語りました。
勝山市PTA連合会主催の教育講演会が行われました。当研究所の柴田 准教授・河部 准教授が、恐竜学部(仮称)の概要、恐竜学研究所で現在行っている研究、恐竜学部(仮称)と地域との連携などについて講演を行いました。100人を超える多くの方にご参加いただきました。新学部や恐竜研究に大変興味・関心を持っていただいたようです。ありがとうございました。
大学院生の陣内さん、平良さん、坂根さんが講堂前の展示スペースのリニューアルにチャレンジしました。展示の内容からパネルの作成や標本の展示まですべて自分たちで行いました。白樺祭の初日には、「創立30周年記念シンポジウム」が講堂で開催されます。ぜひ足をお運びいただき展示をご覧ください!
プリントアウト作業
パネル作り
レイアウト作業
完成!!
元県立大学院生の朝倉さん(現在東京大学大学院生)と当研究所の河部准教授が、頭骨内の骨同士のつながり程度を「解剖学的ネットワーク分析」という手法を用いて、初めてトカゲ類頭骨の骨要素同士のつながり方の関係を定量評価しました。
現生トカゲ類57種とムカシトカゲ目1種を解析し、その関連性の強弱からトカゲ類全般の頭骨の構造を3つの領域(眼窩前領域、眼窩後領域、下顎領域)、トカゲ類よりも原始的なムカシトカゲの頭骨の構造は4つの領域に分類できることを明らかにしました(右図)。
また、トカゲ類の頭骨のつながりは3つの領域に分類できるものの、骨のつながりパターンにはトカゲの種類によって違いがあり非常に高い多様性を示すことが分かりました。このことは進化の過程でトカゲ類が様々な生息環境に対して高い適応力を発揮できた理由の一つとして考えられます。
本研究論文はオープンアクセス科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されています。
掲載:Scientific Reports
タイトル:Anatomical network analyses reveal evolutionary integration and modularity in the lizards skull
35人ほどの生物部の皆さんが、福井の恐竜や恐竜研究について、柴田准教授の講義を受けました。講義の後は次々と手を挙げ鋭い質問をするなど、活発な質疑応答が行われました。
実践恐竜学実習(8/15-8/16)および古脊椎動物学実習(8/17-8/19)を行いました。化石の発見から研究までのプロセスを実習を通して理解を深めました。今年は実習直前の大雨による被害で発掘現場に行けないため、発掘調査実習は北谷の現場の岩石ではなく、タイの岩石を使っての実習になりました。発掘現場には行けませんでしたが、タイの岩石を割るという貴重な体験ができました。
展示解説
座学
野外観察(大矢谷白山神社)
発掘実習
クリーニング実習
レプリカ制作実習
当研究所の柴田准教授・今井助教による、化石やバーチャル恐竜を用いたミニ講義や質疑応答も行われました。多くの方にご参加いただきありがとうございました。
Color patterns of the Kitadani Freshwater Bivalves (Asato et al.2022)
福井県立恐竜博物館の安里主事、中山研究員、当研究所の今井助教は、勝山市北谷町の恐竜発掘現場(前期白亜紀)から発掘された淡水に生息する二枚貝化石に、生息当時の色彩模様が保存されていたことを明らかにしました。現生の淡水域の貝類の模様と特徴が似ており、現生の貝類と同様に、当時も捕食者から身を守るために生息環境にカムフラージュしていた可能性があると考えられます。
掲載:Scientific Reports
タイトル:Case study of the convergent evolution in the color patterns in the freshwater bivalves
当研究所 今井 助教が講師を務めた特別企画講座「バーチャル・AI恐竜学のいまとこれから」が、”ほとんど0円大学”のWEB記事に掲載されました。
尾椎骨 83㎜×78㎜×55㎜」
(前後長×高さ×幅)
歯化石 10㎜×6㎜×4㎜(長さ×幅×奥行)
当研究所・福井県立恐竜博物館・徳島県立博物館の共同調査で、徳島県勝浦町の前期白亜紀(約1億3千万年前)の地層から、日本最古級の草食恐竜イグアノドン類の尾椎と歯の化石を発見したと発表しました。
この時代のイグアノドン類の骨化石の発見は国内初であり、イグアノドン類のアジアでの進化を研究する上で重要です。
2025年4月新設予定の恐竜学部(仮称)に関する情報をお届けします。内容は随時更新予定です。
左から朝倉さん、河部准教授
研究所一同
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、式典への参加は卒業生、修了生のみでしたが、無事挙行されました。
今年度は河部研究室から、朝倉 侑也さんが修士の学位を授与されました。今後も研究活動に邁進し、更なる飛躍とご活躍することを研究所一同心より願っています。本当におめでとうございます!
河部研究室の平良 暁子さんが、福井県立大学において学術研究活動や課外活動等で活躍した学生を表彰する「つぐみ賞」を受賞し、3月7日に授賞式が行われました。
平良さんは、2022年2月4日‐6日にオンラインで開催された日本古生物学会 第171回例会で、「カマラサウルスの上顎および下顎の血管神経管の解析」というタイトルで発表し、優秀ポスター賞を受賞しました。
左から恐竜学研究所 河部准教授、平良さん
当研究所と福井県立恐竜博物館、中国科学院古脊椎動物古人類研究所の研究チームは、手取層群北谷層で発見された小型の獣脚類「フクイベナートル」が、従来の見解よりもさらに鳥類に近縁な「マニラプトル類」に含まれ、その中でも「テリジノサウルス類」の特に原始的な系統であることを明らかにしました。この成果は、日本古生物学会第171回例会(オンライン)において発表されたほか、福井県立恐竜博物館紀要第20号に掲載されました。
フクイベナートルは2007年に勝山市北谷町で発掘され、2016年に新種として命名された恐竜ですが、骨の特徴の組み合わせが特異であり、どのような恐竜の仲間にあたるのかは今まで謎に包まれていました。今回、その全ての化石をCTスキャンにかけて詳細に解析し、詳細な記載によって分類に必要な情報を拡充したことで、謎の解明に至りました。系統的位置付けが明確になったことによって、今後の研究においてさらに重要な役割を担うことが期待されます。
日本古生物学会 第171回例会(2月4日~6日、オンライン)にて、河部研究室の平良 暁子さん(M1)がポスター賞を受賞しました。発表タイトルは「カマラサウルスの上顎および下顎の血管神経管の解析」です。
「福井バーチャル恐竜展実行委員会」により企画・制作された「福井バーチャル恐竜展」を開催します。この恐竜展は、クラウドファンディングなどにより資金調達を達成して実現しました。
福井の恐竜の3D生体復元CGをインターネット上の仮想空間に設けられた会場に展示し、学術的な解説などを加えています。パソコンやスマートフォンを通して、どなたでも手軽に福井の恐竜について学ぶことができます。
今後、展示される恐竜の種類や展示解説・映像などのコンテンツを増やし、さらなる展示の充実を図っていきます。また、一般向けだけでなく、恐竜学実習や学芸員実習などの学習・教育活動での活用も目指します。
福井バーチャル恐竜展実行委員会
委員長 東 洋一 福井県立大学名誉教授
委 員 西 弘嗣 福井県立大学恐竜学研究所 所長
芝原 暁彦 福井県立大学恐竜学研究所 客員教授
今井 拓哉 福井県立大学恐竜学研究所 助教
CG制作:吉田雅則 神戸芸術工科大学 准教授
会場制作:株式会社 Skeleton Crew Studio
当研究所は、福井新聞社と共同で「株式会社 恐竜総研」を設立しました。これを受けて本日12月22日に福井県立大学発のベンチャー企業として認定されました。
当研究所の恐竜研究成果を活用したデジタルコンテンツやデジタル教材などの県内外企業へ提供が事業の柱となります。また、恐竜に関する交流促進や研究成果の普及、国内外の恐竜に関する研究支援、恐竜をテーマとした福井県の魅力・地域力向上も視野に入れた事業展開を行っていきます。
会社概要
社名 株式会社恐竜総研
設立 2021年12月22日
資本金 3,000万円
代表取締役 野口 邦治(福井新聞社クロスメディアビジネス局 局長)
最高顧問 東 洋一 (福井県立大学名誉教授)
技術顧問 西 弘嗣 (福井県立大学恐竜学研究所 所長)
技術部長 今井 拓哉 (福井県立大学恐竜学研究所 助教)
技術部長 服部 創紀 (福井県立大学恐竜学研究所 助教)
恐竜学研究所の教員による、福井の恐竜に関する研究成果をまとめた書籍が発行されました。福井県内の書店を中心に販売(税込550円)されます。興味のある方は是非お買い求めください。
購入に関するお問い合わせは:福井新聞社読者事業局 0776-57-5180
イギリスの科学雑誌「Historical Biology」に掲載予定の論文が、印刷に先駆けて本日オンライン公開が開始されました。
これまで解析されていなかったティラノサウルスの下顎の内部構造をCTスキャンすることにより、血管神経管(下歯槽管)の形態を3Dモデルとして世界で初めて復元しました。また、CTスキャンしたトリケラトプス、フクイサウルス、ワニの下顎の血管神経管の形態と復元することで、血管神経管が恐竜の中で最も複雑に枝分かれをし、鋭い感覚を持つとされるワニや鳥と同程度の複雑さを持つことが分かりました。
これらのことから、ティラノサウルスの顎先は高感度の触覚センサーとして機能していた可能性が明らかになり、捕食、子育て、種内コミュニケーションなどの繊細な行動に適応していたことが考えられます。
タイトル:Complex neurovascular system in the dentary of Tyrannosaurus
掲載:Historical Biology
研究に使用したティラノサウルスの歯骨写真(上)と3Dモデル化した歯骨内部の血管神経管(下)
福井県立恐竜博物館の研究員を兼任する恐竜学研究所の教員も参加し、福井県立恐竜博物館の「福井の恐竜コーナー」がリニューアルしました。「福井の恐竜コーナー」の大きな刷新は、福井県立恐竜博物館が2000年に開館してから初めてです。
「福井の恐竜コーナー」では、これまで福井県で発見された5種類の恐竜である、フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン、コシサウルス、フクイベナートルなどを展示していました。30年に及ぶ県内での恐竜発掘により、いまでは鳥類を含む計9種類の恐竜や、福井の恐竜とともに生きていた様々な動物化石が確認されています。今回のリニューアルは、福井県での恐竜最新研究を反映し、福井県産恐竜の骨格のリニューアルや、これまで展示されていなかった新しい種類の福井県の恐竜・動物化石の追加を行っています。
令和2年度の福井新聞文化賞(福井新聞社、一般財団法人福井新聞風の森事業団主催)を東 名誉教授が受賞することが決まりました。贈呈式は11月5日です。
当研究所の服部創紀助教をはじめとする研究グループによる論文が、英国解剖学会発行の科学雑誌「Journal of Anatomy」に掲載予定で、印刷に先駆けてオンライン公開が開始されました。
この研究では、爬虫類(トカゲ類、カメ類、ワニ類)と鳥類における足の筋肉の相同関係を解明しました。これにより、ワニ類と鳥類を含む主竜類における足の筋肉の「原始的な状態」が明らかになるとともに、鳥類に至る進化の過程において足の筋肉に大きな変化が起こっていたことが示されました。また、化石種(恐竜など)の筋肉の復元の根拠となる、それぞれの筋肉の付着痕の形態についても明らかにしました。
これらの成果は、主竜類における二足歩行性の発達過程の理解に大きく寄与すると期待されます。
タイトル:Homology and Osteological Correlates of Pedal Muscles among Extant Sauropsids
掲載:Journal of Anatomy
本学大学院生物資源学研究科の坂上莉奈さん(河部研究室)の論文が、オープンアクセス科学雑誌「PeerJ」に掲載されました。
トリケラトプスの脳や内耳の形態を復元し、他の恐竜と比較することで、トリケラトプスの生態(嗅覚、聴覚、頭部姿勢と俊敏さ)を明らかにしました。
このことは、角竜の知覚や運動能力の進化の解明に大きく貢献します。
タイトル:Endocranial anatomy of the ceratopsid dinosaur Triceratops and of sensory and motor function
掲載:PeerJ
https://peerj.com/articles/9888/
2020年9月1日付で元東北大学学術資源研究所公開センター長の西 弘嗣教授が当研究所の所長に就任しました。
先生は微化石や有機物の解析に基づく地質年代層序の確立、海底堆積物の解析による古環境や古気候変遷の解明、環境変動が生物に与える影響に関する研究を行っています。
恐竜化石産地として知られる福井県に研究所があることを活かし、福井県立恐竜博物館と連携し、地質学・古生物学を基盤とし、デジタル技術や地球化学の手法を用い、アジアの恐竜研究の拠点として世界に通用する教育・研究を目指します。
東 洋一名誉教授、今井助教が監訳し、当研究所およおよび福井県立恐竜博物館の研究職員が翻訳した「グレゴリー・ポール 恐竜辞典 原著第2版」が、共立出版から出版されました。
本書は、アメリカの古生物学者であり、古生物イラストレーターのGregory. S. Paulによる "Princeton Field Guide to Dinosaurs 2nd Edition"の日本語版です。750種近くの主要な恐竜についての詳細な記述と解説とともに、700点ものカラー復元図とモノクロの骨格図を掲載しています。
ぜひ、読んでいただきたい一冊です!
福井県では、1989年から福井県勝山市北谷恐竜発掘現場で恐竜発掘を続けてきました。この度、これまでの約30年の発掘で発見された恐竜などを一堂に集めた油絵を画家の山本 匠先生に制作いただき、この日にお披露目となりました。
この作品の制作には、2020年2月に東 洋一名誉教授らが受賞した、「第15回福井県科学学術大賞」の賞金が活用されました。油絵は、7月23日より、福井県立恐竜博物館企画展内にて展示されます。
福井県勝山市の北谷恐竜発掘現場から大型肉食恐竜スピノサウルス科の歯化石が確認されことを、福井県立恐竜博物館が発表しました(研究代表:服部創紀助教)。国内では4例目で、一か所から発見された化石の数(計18点)としては最多になります。
スピノサウルス科は前期白亜紀~後期白亜紀の初め頃(約1億3000万年前から9000万年前)にアジアやヨーロッパ、北アフリカに生息した大型肉食恐竜です。ワニに似た頭骨や歯が見られ、魚食性が強かったと考えられています。約1億2000万年前の福井県では、フクイラプトルとスピノサウルス科という少なくとも2種の大型獣脚類が生息していたことになります。
恐竜学研究所と、2016年に産総研(国立研究開発法人産業技術総合研究所)発のベンチャーとして設立された地球科学可視化技術研究所が協力し、「恐竜技術研究ラボ」を設立することになりました。従来の恐竜研究は、近年盛んな産学連携による社会還元が未発展な分野でした。恐竜技術研究ラボでは、地学的な情報を国内外の産業、経済に広く活用してきた地球科学可視化技術研究所のノウハウを活用し、恐竜研究を実践的・効果的に社会に還元する手法を模索します。また、恐竜研究に伴う技術的な課題の解決に取り組むとともに、恐竜研究を志す学生や若手研究者に対して、より広い分野において活躍する機会を提供していきます。
設立日 令和2年4月20日
組織 地球科学可視化技術研究所 恐竜技術研究ラボ
茨城県つくば市千現二丁目1-6(地球科学可視化技術研究所内)
参画者 地球科学可視化技術研究所代表 芝原 暁彦 博士
福井県立大名誉教授 東 洋一 博士
福井県立大恐竜学研究所助教 今井 拓哉 博士
当研究所所長で特任教授の東 洋一先生が3月末で退職され、本学の名誉教授の称号を授与されました。
昭和40年に山口県下関市の約1億2000万年前から1億年前の前期白亜紀の地層で発見されたものです。福井県立大学と福井県立恐竜博物館の研究グループが分析した結果、中国や韓国の同じ年代の地層から発見されたものと特徴が一致したことから、同じグループに属する恐竜の卵であると分かりました。さらに、殻の構造や厚さの違いから新種の卵化石であることが判明しました。このことは、前期白亜紀に東アジアの広い地域で同じ、もしくは近い種の恐竜が生息していた可能性を示す初めての証拠となります。
学名:ムルティフィスウーリトゥス・シモノセキエンシス(Multifissoolithus shimonosekiensis)
掲載:Historical Biology
本学大学院生物資源学科古生物学研究領域に所属する当研究所の学生三人が、以下のタイトルで発表しました。
当研究所と福井県立恐竜博物館、タイのコラート化石博物館が2007~2013年の共同発掘調査で見つけた恐竜化石が、大型肉食恐竜カルカロドントサウルス類の新属新種と判明したと発表しました(研究代表:服部創紀助教)。学名が与えられたカルカロドントサウルス類としては最も原始的なものに当たります。
学名:シャムラプトル・スワティ(Siamraptor suwati)
掲載:PLoS ONE
当研究所と福井県立恐竜博物館、並びに中国科学院古脊椎動物古人類学研究所の研究チーム(研究代表:今井拓哉助教)が、2013年8月に勝山市北谷町の北谷恐竜発掘現場から発見された骨格化石は、前期白亜紀の鳥類としては最も原始的な新属新種の鳥翼類であることが判明したと発表しました。
学名:フクイプテリクス・プリマ(Fukuipteryx prima)
掲載:Communications Biology
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